「雪女~大人のための日本昔話~」ご案内 [ライブ情報]
少年だったあの日、吹雪に閉ざされた山小屋で見たあの光景が今も忘れられない。
美しい妻と健やかな子供達に囲まれての、心穏やかに充ち満ちた日々の中でも。
時折脳裏を掠めるのは、あの美しくもおぞましい恐怖の夜のこと。
思い起こすと、背筋が凍るほどに恐ろしく、そのくせ抑えることのできない欲望が、巳之吉の深奥に渦巻いている。
あの、遠い日のあの夜。
ふと目をさました少年巳之吉が目にしたものは。
足腰が曲がり老いさばらえた茂作爺が、往年の頑健そのままの精力で女体を抱きしめうごめく様と。
そして醜い老人の下で嫣然と微笑む女。
息を呑むほどの、この世のものとも思われぬ怪しき美貌のその女。
乱れた着物のすそからのぞく白い太ももが、みっちりと老人をしめつけ、赤い唇が老人を追い詰め、ふくらみはじけきった精をすすりとる。
喜悦の雄たけびとともに事切れる老人。
ほとばしりを最後の一滴まであまさず吸い尽くし、満足げに喉を鳴らす白い女。
舌なめずりをしながら立ち上がり、こちらを見つめてきた女の黒い瞳にとらわれながら、ああ、次は自分の番だと巳之吉は思った。
この世ならずの化生の女。
怪しく美しいこの女になら、殺されてもいいと思った。
自分もあのように、あの赤い唇にくわえられて吸い尽くされたいと思った。
───こいねがった。
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物語作家にして朗読家・一条綾香がお届けする、
恐怖と愛憎うずまく快楽の世界。
人ならざるものの愛と傲慢な人間の欲がからみあった先に生み出された悲劇。
一条綾香朗読会『雪女 ~大人のための日本昔話~』
日時:2月23日(土)
開場:午後7:00 開演:7:30
会場:札幌豆工房(札幌市東区北18条東9丁目2-12 パシャ18 1F)
入場料:1,000円(珈琲or紅茶付)
15名限定完全予約制
お問合せ、お申込:TEL&FAX: 011-731-0451(札幌豆工房)
※R15指定イベントです。
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